血族と写真
俺はあまり写真に撮られるのは好きじゃなかった。
小さい頃から母さんに何度も聞かされてきたことがある。それは写真は写った人間の生気をすいとってできると。なんでそんな事をいうのかまだ小さかった俺には全くわからなかった。ただ言われるまま写真に写らないように気をつけてきた。
当然そうなると学生の時には困ることになる。まず集合写真に写れない。プリクラにもそれは言える。
最初の頃、クラスメートは気にしていなかったがそれがずっと続けば誰だって考えるだろう。
『あいつ何で写真に写りたがらないんだ?』ってね。そんなの母さんにでも聞いてくれってんだ。
クラスメートは写真に写っても何も起こらない。しかし俺だけは写るなと何度も何度も言うのでうちには写真は一枚もない。
それは母さんも同じ。
だが唯一父さんの写真だけはあった。
一人で微笑んでいるその顔はカメラを持っていた母さんに向けたものだろう。
しかし父さんはもうこの世にはいない。
この写真を写して間もなく突然倒れて死んだ。
カメラに何かついてるのかと思い知り合いの霊能者に見てもらったが、何もついてないと言われた。と言う事は―――。
俺は母さん内緒で写真を見せた。すると俺が思った通り写真の方に問題があった。
霊能者いわく、写真に良からぬモノがついているらしい。しかもそれは父に吸い寄せられるようにたくさんのモノが集まりそれが写真に写る父の生気を吸い取ったと―――。
その父の血を受け継ぐ俺にも同じ事が起きるかもしれないと魔よけのお札をくれた。
母さんの心配の原因がわかったがそれはそれで自分自身が不安になるとは考えもしなかった。
しかしある日、俺がちょっとした隙を見せた時を狙ってクラスメイトの男子がこっそりと携帯で俺の写真を撮ってしまった。
その事を知ったのは女子が話していたのを偶然聞いてしまってからだった。
俺はカッとして撮った友人につかみ掛かった。
『何故勝手に撮った。』と。
しかし友人はたいしたことないじゃないかと真剣に聞こうとはしなかった。
だがそれからすぐに突然の激しい胸の痛みに襲われ俺は顔を歪め胸をわしづかむようにしながらその場に崩れた。
近くにいた生徒たちはみな驚いて叫び出すもの――教師を呼びに走り出すもの――様々だった。
俺は薄れゆく意識の中回りの様子をただぼんやりと見つめていた。
『父さんもこんな風に死んだのかなぁ…。母さん…。』
俺はそのまま暗い闇へと落ちていった。
携帯のカメラで写された俺は微笑んでいた。その微笑みは誰に向けたものだろう―――。
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