恐怖の廃校 ~5~
和彦と梨絵か賢治と美佐か博人と良子達だとばかり思っていたが、廊下を見ても人は誰一人としていなかった。しかし、ついさっきまでは確かに音がしていたのだ。瑠璃が覗くその瞬間まで・・・・・。
背筋に嫌なものを感じた瑠璃は、もしかしてここもホントに霊が出る場所だったのではないかと不安になった。
ここまで来た事が間違いだったのだと今になって後悔した。けれど、ここでみんなを驚かすと言っていたはずの春花もここにはいない。このままこっそり帰っても問題ないと思うが、彼女が戻って来た時ここにいないとわかればまたいじめの標的とされるかもしれない・・・・。もういじめられるのはイヤだったので、我慢してそのままここに留まる事にした。
それが彼女を新たな恐怖へと引き込んでいく・・・・・・・。
その頃春花は肇の所にいた。
「ったく、肇。一体どこまで逃げるのよ。探すの大変だったじゃない!」
春花はそう言いながら肇の背中に手をのせた。はずだった・・・・・・。
しかし、その手はあるはずのものを掴むことなく空をきった。
「えっ?」
春花は信じられなかった。今、目の前に起こった事が。
ここに肇がいるのに何がどうなっているのか分からなかった。
じゃあ、今私の目の前にいるのは・・・・・・。
肇だとばかり思っていたそれはゆっくりと振り返り始めた。そして・・・・。
建物内に悲鳴が響き渡った。
それを建物内に入っている和彦と梨絵、賢治と美佐、博人と良子、そして肇と瑠璃も聞いていた。
「おっ、いいじゃねーか。誰だ?迫真の演技してるやつは。」
「え~、あの子じゃないの?」
などと言いながら笑っているのは和彦と梨絵の2人だ。
「おいおい、お化け役のやつが自分の仕掛けに驚いてどうすんだよ。」
「え~?でも、その方がいいんじゃない?だって、より怖いってみんなに恐怖を体験してもらえるって実践してるんだし。」
賢治と美佐はそう話しながら1階のトイレ付近の廊下を歩いていた。
「おい・・あの悲鳴ちょっと変じゃね~?」
「う~ん、確かに変だと思う。ちょっとリアルっぽかったような・・・・。」
「まっ、まさかホンモンにあっちまったってわけはないよな。」
博人と良子はそう言いながら1階から2階へと階段を上がって行った。
和彦と梨絵、賢治と美佐そして博人と良子の6人はまだ気付いていない。
これが本当の恐怖の始まりだということに・・・・・・。
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